1.11.99

はるた彗星

こっちみて

あの人の笑顔とか

あの人の長い睫毛とか

あの人のとぼけた声とか

あの人の変な癖とか

紛れもなくわたしがこの目で見てきた好きなところ

 

悲しかった時に笑わせてもらった

しんどかった時に助けてもらった

だからこそ、本当はなんでもこなせるあの人が甘えてきた時は目一杯手伝うと決めた

代わりなんていないんだ、と伝えられる

 

 

でもなにか、おかしいんだ

 

 

こんなに好きなのに

「いつか諦めてしまうだろうなあ」と

そんなことを考えて少し涙腺がゆるむような

 

あんな恋は勘違いだったのだと

近い将来わたしが口に出してしまいそうで

 

 

「あのさ

好きだよ。

 

いつかあなたを失うこと、こわいよ。

 

でももう目が離せないからさ

今から抱きしめてもいいですか。」

かさをさす

通勤時間が長いわたしのこと、「大変そう」とか「時間もったいない」とか「車あったらいいのに」とかみんな好き勝手言うけどさ。

いいんだってば。

いいんだって思ってるから通ってるんだってば。

 

電車に揺られる心地よさを知らない君たちさ。

自宅と会社の間の『切り替え地点』の大事さを知らない君たちさ。

歩くからこそ観れる銀杏並木を知らない君たちさ。

シリウスを見上げることもない、「月暈」なんて言葉も知らない君たちさ。

 

一生文句言ってなよ。

わたしはやめたりしないんだから。

かわりなど

いつか最愛の人の死だとかに、立ち会えなかったとき。

死に顔すら見られなかったとき。

まるで本当は死んでないんじゃないかって思ってしまうの、実感なんてないんだろうな。

 

思い返すその人の姿が、いつもわたしと目が合ってるのって、そんなの素敵だね?

その人がわたしを見ていてくれたんだよね。

仕草、髪型、手の形、わたしよりもひとまわり大きい背、その人の数ある『外』のなかで、いちばん忘れられないのが瞳だったらいいな。

 

そうだったらいいな。

 

とある友達の、「女の子は、2番目に好きな人と結婚したほうがいいんだって」を思い出しながら。

げいじゅつ

この人はきっと、

わたしと同じくらい世の中のことが嫌いで、

愛されないこともこの世の中のせいで、

愛されることもこの世の中のおかげで、

手に入れたこんなにもあたたかい心がいつか冷めてしまうことを死ぬことよりも恐れている人だと思う。

 

決してつまらなくはないのに、どこか悟ったように日常を眺めている人だと思う。

 

きっとわたしと似ていて同じではない。

似たような時を過ごしていて一緒にはいない。

 

幸せの絶頂にいたとしても、

それが失われる日を想像して憂鬱な黄昏時を得ている。

失われる理由も、失われない保証も、今ここにはないのに。

 

皮肉にも、悩んだほうが良い詩を書く詩人がいる。

良い曲を奏でる演奏者がいる。

良い写真を撮るカメラマンがいる。

 

 

芸術が美しいのは、儚くて哀しいからだ。

「ねえ あたたかいスープのように」

すぱげてぃ

「わかんないわ」ってよく言うんだね

たとえば満月が好きだって言ったらまたどうせ笑うんでしょう

曇っていてもその明るさだけで透けて輪郭がみえたこと、それで涙が出そうになったことは可笑しいですか

どうしてあんなに美しいもののために、空を見上げたりしないんですか

受け入れてほしかった

飾らないわたしも、飾ったわたしも

 

言葉にしてたらほんとになるって

ほんきで信じてたんだ

うそのわたしが、ほんとになるって信じてた

そのとき、自分を好きになってあげられるんだって

 

わたしを信じてた

 

わたしをみて

 

わたしをみて

 

わたしをみて

かみかざり

手に入らないものが欲しかったんだ

掴めないものに手を伸ばしたかったんだ

 

だから毎日愛されるのはいやだった

それは贅沢だったんですか

 

本気にならずになんとなく欲しがる“風”にする

それで結局は手に入らなかったこと、

「やっぱりね」って傷つかなかった“フリ”をする

 

本気になったら、手に入ったかもしれない

愛されたのかもしれない

でも、本気にならなくてよかったな

 

そんなこと考えて

一向に進まないわたしは

一生かけて進まないわたしは

 

格好つけの、中身のない、意思のない、嘘だらけの

 

なんて安っぽいひとだろうって、

ひとに言える立場なんかじゃなかったんだ

 

ごめん

ごめんね

そうだよ、

ほんとうなんだ

 

わたしって

なんのためにがんばってるんだっけ

 

ね、きょうもアホみたいにわらってさ

あいしたい

「あなたが大好きだからこっちを向いて」

と追いかけても、顔だけしか振り返ってくれないような人が好きだ。

 

普段は必要以上に近づかないでおいてくれて、SOSには敏感に駆けつけてくれるような人が好きだ。

 

お互いにつられ合って笑えるような人が好きだ。

 

手の温度が違っても、心の温度は同じでありたい。

沈黙が心地よいくらい呼吸の速度が合えばいいのに。

 

深夜から夜明けまで、海辺を目指して散歩でもしよう。

疲れたら並んで座って休もう。

 

目が合う回数の分だけ、キスをしたい。

眠る秒数の分だけ、抱きしめて欲しい。

 

好き。

好きだ。

きっと好きなんだ。

 

 

ただひとつでも、「ここ」に居たい理由があればわたしは十分だから。

 

それだけでまた明日のために目を瞑るから。

 

わたしを生かしてください。

 

これからまだ、知らないことを知りたいんだ。

知っていることを教えてあげたいんだ。

 

わたしを生かしてください。

 

「死にたい」は「生きたい」の最終宣告だと、あの日死ななかったわたしが教えてくれた。

 

わたしを生かしてください。

 

もう一度、「愛したい」を見つけたいんだ。