おくりもの

昨日、大好きな女の子と久々にごはんを食べに行った。

大好きなオムライスを、彼女の切ない話と共に頬張った。

彼女は、そう見えないようにしているけれど、頭の中は苦しみだらけで、そのせいで美しい涙を流すひとだった。

 

私はなにも気の利いたことが言えないから、ただ、なるほどねと頷くだけだったけれど、それでもいいんだよって聞こえた気がした。

私の話もたくさん聞いてくれた。

いつも近くにいる人には言えないこと、彼女以外にはどうせ否定しかされないこと、話し足りないくらいに出てくる。

 

彼女を喜ばせたくて、この前海に行った時に拾ったスカシカシパンを薔薇柄の封筒に入れてプレゼントした。

 

「今年もらったプレゼントで一番嬉しい」

「私、あなたみたいな恋人がいいのかも」

 

わたしも、彼女のような突飛な恋人ができたら、とても幸せだと本当に思う。

 

ずっと一緒にいたいと思える友人は、彼女くらいかもしれない。

年に、数回しか会えないかけがえのないひと。

 

好きだよ。

いつもわたしを掬う言葉をくれてありがとう。

かんにんぐ

わたしはいつも、答えを知りながら行動している。

何もかも、前もって知っている。

 

あの人がこれから何をするのか知っていて、「何するの?」と聞く。

あの人が何が欲しいのか知っていて、「何が欲しいかわからなかったんだけどね」とプレゼントする。

あの人が何に苦しんでいるのか知っていて、「何かあったんじゃない?」と見破ったフリをする。

 

全部知っている。

ずるいんだ、わたしは。

ずるく、人一倍ずるく生きているのに、みんなの中ではわたしは、『性格美人』。

 

けれどもう後には引けない。

 

大好きな人に、「性格いいね」と言われた時、わたしは、『わかってもらう』ことを諦めた。

ぴあっさー

昨日、初めてピアスを開けたのだけれど、その時立てた2回のピアッサーの音をまだ憶えている。

 

ホッチキスをね、肌に刺されたようなそれをね、私は表情をちょっとも動かさないで聴いていた。

 

咄嗟に鈍い痛みが走るでしょ。

あぁ、穴が、開いたんだって、思うでしょ。

 

痛みってさ、生きてることを感じる一番の方法だと思ってるんだ。

私は触れるだけでじんわり痛いその傷が愛しくなったよ。

 

狂っている?

 

なにが外れている?

とおくって

別れの瞬間が、刻一刻と近づいている。

離れたい人がいれば、離れたくない人もいる。

大好きなひとに、ずっとずっとずっと一緒にいようって、うそでも言ってみようかな。

なんて返ってくるかな。

 

大好きだよ、今日ここで、あなたの隣に立っていられて幸せですって、伝えようかな。

なんて返ってくるかな。

 

いつもの、笑顔で、俺もだよ、ずっと一緒にいようなって言うんだろうな。

おおつぶの

映画を見たら、というか感動的だったなら予告を見ただけで、泣いてしまえるくらい私は涙脆いのだけれど、逆に自分が傷つけられたり、痛い思いをしてもまず泣かない。

それなのに今日は、珍しく涙が出た。

 

今日は金曜日。

一週間頑張った成果が出てしまう日だった。

私は、真面目にやったつもりだったし、『はなまる』とまではいかなくとも、それなりを期待したわけで。

それなのに、今日、『不合格』という札を額に貼られた。

ショックではあったけれど、別にいい、仕方がない。

 だから、結果を受け入れ、めげず、来週に向けて準備を始めた私を見て、とある人が言った。

 

「この前より、ずっと成長してたよ」

 

私は惨めだった。

慰めなど要らない。

苦しくなるだけだし。

褒めるくらいなら、『はなまる』をくれよ。

くれないのなら、だめな部分だけを、罵ればよい。

 

中途半端なもの程、死ぬほど人を殺すんだって。

じこけんお

だめだとわかっているのに、自分にとってプラスのことなんてないのに、止められない衝動ってふとやってくる。

あぁ、来る、と感じたら気絶くらいすればいいのに、なにこれ。

眠たいのか、フラフラする。

水。

こんな時は、水、飲もう。

さぼるより

通学路を歩きながら、あぁ、このペースで行ったら遅刻だな。でもこんなに綺麗な雪の降りかたしてるのに、急ぐのやだな。って思ってしまって、結果的に海へ行った。

 

高校生の頃、友達が学校をさぼって海へ出かけていた。その女の子も変わっているんだけれど、とにかくその子の為すタブーは、社会的にはタブーなんだけれど、私の中では「羨ましい」だけであった。

残り、学生でいられる期間がどれだけかを考えた。

学生がどれだけ自由であるかを考えた。

行くしかないと思った。

 

海は凍てつく寒さ。

「凍死する!」と叫びながらあの子にプレゼンしようと貝殻を探した。

理想の貝殻がなかなかない、気づけば海岸の端まで何百メートルも歩いていた。

うろちょろとした足跡が残っていた。

これだけ探して、収穫なしか、と思ったら、イメージにドンピシャな貝殻がふたつも見つかった。

波が運んできてくれた。

あの日のあの子のように海へ行き、あの子の好きな貝殻を見つけたよ。と渡したとき、あの子はどんな顔をするだろう。

 

学校でしか得られない成果は確かにある。

だけれど今日は、さぼってよかった。

スカシカシパンに出逢えてよかった。