1.11.99

はるた彗星

ゆきおめん

親元を離れてから、ハルは「男性」というものを知った。 SNSで知り合い、出会うことが多かった。 一人暮らしをしてみて大変なことはたくさんあったけれど、ひとりが寂しすぎるということはない。 ひとり空間に浸れるその瞬間は苦ではなかった。 液晶の向こう…

めいきゅう

一番に思い浮かぶ顔はいつだってあなたなのに、いつだってわたしは矛盾している。 あなたが欲しいはずなのに、「他」ですら求めてしまうその心はわたしだって問いたい。 あなたがいれば他になにも要らないんです、というセリフは、すでに手に入っているひと…

いきいそぐ

YES=NO。 気分の上下が激しい。 風船のように膨れ上がった人間不信感。 永遠に解けない劣等感の呪縛。 「めんどくさいよ、わたしの相手は」 ほっといて=そばにいて。 わたしの手を離さないで。 わたしから目を離さないで。 「いいよ。わがまま聞くのが俺の仕…

びょうしん

感覚をおぼえているのに、熱だけわすれてしまいそうだ。 この季節の、「冷え」が引いていく波のなかでは、どうして、置いていくのと思う。 冷たい指がよかったの。 冷たい頬がよかったの。 あなたが、ふれたのがわかるから。 はるがきたら、離れてしまわない…

もしかして

どうして消えない? 「好きな人がいるから」 きれい? 「とても。こころが」 どんなひと? 「消えてしまいそうになったひと」 まだ消えたがる? 「もしかしたら」 きみはそばにいてあげられない? 「そばにいれる。でも恋人じゃないから」 じゃあなに?それ…

かんのうび

「終わったあと」の男の子がいちばんあったかいと思う、というと 変態だね、と笑って返してくれたあなたが好きでした 行為自体をわたしはそんなに好きではないけれど、その時その時の男の子の体温がなによりも愛しかった あなたもそうよ、と伝えたつもりでし…

らくようと

恋愛が、大事なのは知ってる。 ある人には、それがあってもなくてもいいようなことだってことも。 ある人には、それが生死を分けるようなことだってことも。 わたしにとって、きみは光になりつつあった。 わたしの後ろには、数えきれないほど失敗してきた恋…

にじゅうに

「きょう、楽しかったね」 例えばそんな会話ができる相手がいたらな、と憧れる。 ひとりぼっちの狭い空間は好きだよ。 まるで、この夜はわたしのものだと。 いま、わたしの部屋の壁には34枚の写真が飾られている。すべて美しい。 美しい文章を書くひとは、ど…

かがやいて

彼の名前には、「輝」という文字が入っていたから、つい、綺麗だねと言ってしまったの。 彼は、 「綺麗かな?最高に汚いと思う」 と返した。 ああ、彼「も」、この世が憎いひとだ。 消えたいひとだ。 「汚いところも綺麗だよ」 と伝えた。 でもわたしの気持…

てんじょう

なぜ、あなたを「すき」なのかを考えた。 もし仮にわたしが自殺を図ったとして、 もし仮にそれがなんらかの形で優しい誰かに助けられたとして、 予定外にも生き延びてしまったとき。 医療機関の白いベッドで不覚にも目を覚ましてしまったわたしの視界。 どう…

このみやき

『どんなひとがすき?』 みなさんそうききますけど、 え、おもいつかないですよ わたしむりです そんなのって、そのひとをめのまえにして、ハッときづくものじゃないんですか あーたまんないなぁって このひとすきになりそう!みたいな (もうある種の恋にお…

ななしさん

理想のあれこれ ①わたしの誕生日は、朝イチに「おめでと。」一言でいい。一緒に朝ごはんを食べて、ふたりで仕事に出て、もしわたしのほうが帰ってくるのが遅くても、先に寝てていい。欲を言うなら、気づかないうちに家の花瓶に一輪花が増えてたらいいな。「…

ちょうちん

「なにその優しさ」 意外。みたいな顔して ちゃんと嬉しそうにしたその表情が気に入ってて憶えてる。 話を聞くとき、小首を傾げるあざとさ。 ところどころ馬鹿にしてくるのも嫌いじゃない。 だってきみは賢いんだから。 でも、でもね。 きみは『むずかしい』…

ぼうきゃく

あぁ、触らないで 触れないで もうこっちまで来なくていい 好きになれなかった ごめん 大切に「しなきゃ」と思ったあの日から わたしの心なんて向いてなかったわ それに気づいていたのに いつかあなたをこうやって傷つけること わかっていながら傍にいたの …

はんぶんこ

もう、助けてほしい、なんて甘えは捨てよう だってわたしには「引く」ほど感情がないのだし この脈動だっていつかは止まるんだし その瞬間を自分で選ぶか運命が決めるかだけの話だし 「大切にするよ」って、 その言葉の優しさが耳から離れなかった 優しい君…

まちぼうけ

なんてもどかしいんだろうね、私たちの距離って。 ただiPhoneの画面が光らないだけで、生きてるのか死んでるのかすらわからない。 待つって、苦しいよ。 こういう時の涙って、いつもより簡単に目に溜まるんだ。 でもたとえばふたりが結婚して、同じ家に住ん…

あくびがお

橋の手すりの下に、川を指すような矢印のラクガキがありました。 その矢印の上に立ってみたら、それを描いたひとの気持ちがわかるかと思ったけれど。 「俺ならわかったかも」 きみは世界がこわいから、呼吸するように、小さなウソを何度も何度も吐くんだろう…

それとにた

「どういう意味?」って 馬鹿にしたように聞かないで。 きょう雨が降ったから僕の恋は叶うんだって そんな曲を書いてよ。 すぐそこの電灯の光よりも 遥か遠くの月の灯りのほうが輝いているでしょ 気づいた? 夏の大三角 火星 木星 ねえアルクトゥルス 一瞬を…

ゆかたそで

君が笑ったら この花は咲くんだと思った。 君が泣いたら この花は散るんだと思った。 暑くなってふと脳裏に蘇るような 『夏』ときくと一番に浮かぶような またあの笑顔が見たいと思い出すような そんな存在がかつていた。 太陽がよく似合う 月みたいな男の子…

ごみのやま

ふたり手を繋いでいます。 マイペースで、引っ張っていくほうが私です。 ふたり背中合わせでいます。 卑屈で、自分勝手なほうが私です。 ふたり向かい合っています。 わがままで、まっすぐ目を見れないほうが私です。 ふたり抱きしめ合っています。 嘘つきで…

おうじさま

地上から見上げる星が美しいように、空から見下ろす「星」も美しいとおもう。 それは文明の「星」。この大都会で、たくさんのひとが暮らしている証拠。 あなたの奥のわたしは、いつまで美しいかな。その目と目を通して、なにを会話できるかな。残り、わたし…

あおいかぜ

そうなんだよ そうなんだ たった一度だけ愛したのがきみだった きみと別れた日 「いってきます」と笑った これが最後だって、 きみは知ってたのかな ねえ、どんな眠りかたをしたの? ひとりぼっちだった? くるしかった? 眠る少しまえまで、 わたしのことを…

ほおつたう

せんせい、わたしは間違っていましたか。 また間違ってしまったのですか。 自分の独断と偏見により行ったそれらは、あなたを傷つけてしまった。 あなたの悲しそうな眉の形を見たとき、心臓がグッと掴まれたように苦しくなった。 「大丈夫、君は悪くない」 あ…

あせないで

たとえばまつげについた雨粒が綺麗だとか。その光の雫が視界を遮ったりするのだけれど、それでも拭ったりしない。 たとえば白い腕を見せびらかす少女が傘を広げるのことは、勿体無い気がするだとか。ただ、その指先が雨に打たれる姿を見てみたい。 たとえば…

じゅうなな

思い出って残酷だ ふと涙が出てくるよね それは嬉し涙の類なんだろうけどさ 楽しかったよ 美しかったよ とてもとても充実してた それに気がついたのが今だった 気づかなかったよ 今じゃなきゃ気づけなかった シャボン玉を吹きながら帰ったあの日 ふつうじゃ…

しゅうしふ

生まれ変わったら男の子になって、たくさんの女の子を幸せにしてあげたい。 可愛い女の子は目一杯に愛でて、そうでない子にも優しい夢を見させてあげる。 大人になったらデザイナーズマンションに一人暮らしなんか始めて、黒猫を飼おう。その名前は「彗星」…

ふしあわせ

雨上がりの太陽の光が あの子の幸せをみたの 途端に苦しくなったわ それは私の求める物で 欲しくない物だからね 最近この手首が痛むと 白くなった痕が痛むと 苦しかったことが蘇る 「苦しかった」は過去 今私は幸せなのかしら そうでないといいのに

きんきなる

月の輪郭が見えなくなってから ブレーキに手をかけなくなってから 耳たぶに穴をあけてから 心臓に刃先をむけるようになってから 人のタブーは僕のタブーではなくなった 眠ってしまえ、全世界

そうまとう

たしかに私は愛されたかった。 今でも忘れないかおり。 眼鏡のかたち。 照れた耳のいろ。 何年も前のこと。 ひとつひとつの断片が多すぎた。 好きだったみたい。 思い出すのは私だけ。 それでもいいよ。 それがいいね。 ただ 眠るまえに思い出すなら、 とな…

てにふれる

夕焼けはどこでも美しい。 浜辺の貝殻をひろって、 波に浮かべた花が拐われて、 紅葉の時をとめる。 ふと想うきみのこと、 いつか忘れたりするんだろうか。 あの、帰りに見つけた枯れた紫陽花みたいに。 当たり前に過ぎていく夕暮れみたいに。 顔も、声も、…