1.11.99

はるた彗星

あくびがお

橋の手すりの下に、川を指すような矢印のラクガキがありました。

その矢印の上に立ってみたら、それを描いたひとの気持ちがわかるかと思ったけれど。

 

「俺ならわかったかも」

 

きみは世界がこわいから、呼吸するように、小さなウソを何度も何度も吐くんだろう。

 

「ウソだよ」

 

って、切ないふうに言うんだね。

電話越しに聞こえたきみの笑い声がすきだ。

 

「どうしたの?なんかあったの?話聞くよ」

 

あぁ、『逃げ道』を見つけたと思ったのにな。

苦しさから逃げられると思ったのにな。

またゼロからかな。

 

愛しいところがあったら大丈夫だよ。

愛しかったよ。

カチカチカチ。

 

「痛々しいの、嫌いじゃないんだよね」