1.11.99

はるた彗星

にじゅうに

「きょう、楽しかったね」

 

例えばそんな会話ができる相手がいたらな、と憧れる。

ひとりぼっちの狭い空間は好きだよ。

まるで、この夜はわたしのものだと。

 

いま、わたしの部屋の壁には34枚の写真が飾られている。すべて美しい。

 

美しい文章を書くひとは、どこでその言葉を手に入れたんだろう。

読み耽る。読み耽る。

死んでみたいという感情が次第に薄れていく。

 

昔から、よく妄想をするこどもでした。

小学校の校長先生の話の間、待ってましたというように体育座りして想像の世界に入り込む。

そうね、物語が好きだったのね。

けれど書けと言われたら書けなかった。

ひらがなも、漢字も、美しくて好きでした。

 

曲線に強いこだわりがありました。

紙面でも、立体でもそれは同じこと。

理想が高いのはこの頃からもう、始まっていたのね。

身よりは骨が好きです。

大丈夫、皮膚を剥いだりはしませんので。

 

目は悪いけれど、誰かの表情の変化にはすぐに気がつきました。

耳もきっとよくはないけれど、意思を持つ音はよく聞き取れました。

幽霊と会話するのなんて、簡単です。

たとえば視えてなくとも。

 

美しい友人たちに出会えたことに感謝します。

彼らは純粋で、時には残酷で、でも愛をくれた。

感謝します。

どこにいても、わたしの顔を思い出せなくとも、きっとお元気で。

 

母。

きらい、じゃないけど、すきにもなれなかった。ごめんね。

あなたには数えきれないほどの感謝状を贈りたい、一緒に花束も。

数えきれないほどの眠れない夜を、「おかえり」と許してくれた偉大なる優しさ。

ありがとう。

 

父。

強く厳しい、繊細なひと。

ずっとそのままで。

あなたからもらった沢山の才能やセンスが、わたしを支え、助けてきた。

わがままで頑固でしたね、お互い。

ありがとう。

 

兄。

会話をするよりも、隣でテレビを観て笑うほうが多かったね。

口数は元々少ないけれど、わたしのために口を結んで我慢したことも多かったと思います。

地球より広い心と、あたたかい手のひらに合掌。

ありがとう。

 

猫。

愛してる。

愛したきみは、星になったんだよね。

だから曇りでも星空が好きだよ。

愛してる。

 

はる。

形のない、わたし。

殺してしまってごめんね。

また、もし、生まれ変わっても、またわたしを選んでください。

気が向いたらで、いいよ。

 

 

なかなか、長くなったけれど。

 

どうかこれから先、何度でも、桜が咲きますように。

雨が降りますように。

彗星が流れますように。

 

はるた、すいせい。