1.11.99

はるた彗星

かみかくし

どうしてわたし、あんなに怒ってたのかな。

あんなに彼に当たって、どうかしてた。

 

友人が少し苦しげに笑う。

友人は最近、前よりずっと綺麗になった。

好きな人とすれ違うたびに涙を流していた、悲しい時期が彼女にもあった。

 

向き合えば向き合うほど喧嘩をしていたある時、彼女から距離を置くことにしたという。

それから、その好きな人以外とのたくさんの出会いがあった。

 

彼を知ってから、他を知ったことを後悔していない。

 

と、友人はまた笑う。

 

わたしだけが待っていると思っていた。

わたしだけが寂しくて、ひとりぼっちなんだと思っていた。

彼を忘れようとして、焦って、被害妄想して、自分から傷ついて。

彼自身を見ていなかったのはわたしの方だったの。

わたしにナイフを突きつけていたのは彼じゃない、わたしだった。

 

10は要らない、1でもいいから、彼の世界を知りたいと思った。

全てを理解することが全てじゃない。

育ちも好みも正反対の彼がくれた、この幸せな気持ちが、答えだと知ったの。

 

 

友人は最近、前よりずっと綺麗になった。

今度、彼女と彼の結婚式に行く。

彼の傍らに立ち、ドレスを纏った彼女は、今よりもまた綺麗になるんだろう。

 

 

雲外蒼天。きみたちはとても美しい生き物。